「社内資料のPDFを翻訳して、そのまま提出したい」「英語メールを自然な日本語に整えたい」——同じ“翻訳”でも、仕事で求められる成果物はケースによって大きく異なります。
本記事では、LanguiseとChatGPT翻訳を“実務の観点”で比較し、あなたの業務に合う選び方を具体的に解説します。メリットだけでなく、デメリット/リスクや、不確実な点も明記します。
結論:仕事で迷うポイントは「成果物(ファイル)」「図表」「セキュリティ要件」
まず結論から。選定軸はこの3つでほぼ決まります。
- PDF/Word/PowerPointを“レイアウトを保ったまま”納品したい → Languiseが有利
- 文面を作りながら翻訳(意図・トーン調整/言い換え/要点化)したい → ChatGPT翻訳が有利
- 機密文書を扱う/社内規程が厳しい → 契約形態・データ設定で判断(後述)

LanguiseとChatGPT翻訳:そもそもの思想が違う
Languise:文書ファイルを前提にした「翻訳・要約・校正」ツール
Languiseは、PDF/Word/PowerPoint/Excelなどの文書ファイルをそのまま扱うことを主眼にした設計です。翻訳だけでなく、要約・校正(表記ゆれ/誤字脱字の指摘)まで一体で回せるのが強みです。
ChatGPT翻訳:会話型の強みで「意図・トーン・再構成」まで踏み込める
ChatGPTは、翻訳そのものに加えて「この文章を丁寧に」「相手が役員なので硬めに」「結論先出しで」など、目的に合わせた書き換えに強いのが特徴です。一方で、仕事で困りがちな「ファイルのレイアウト保持」や「図表込みの原稿再現」は、プランや運用次第で工数が増えやすい点に注意が必要です。

【実務比較】仕事で効く9つの判断軸
1)PDF/Word/PowerPointの取り扱い(“成果物”をそのまま返せるか)
Languise:「提出物がファイル」の現場で強い。ファイルをアップして処理する前提のため、翻訳後の再整形コストを下げやすいです。
ChatGPT:テキスト翻訳は速い一方、翻訳結果をWord/PPTにきれいに戻す工程が残りやすいです(コピー&ペースト、体裁調整、段組・脚注・図表参照の復元など)。
2)図表・画像の扱い(“見た目”も含めて成果物か)
Languise:図表やグラフを含む資料でも、業務フローに乗せやすい設計。
ChatGPT:プランによっては、アップしたファイル内の画像要素が解析対象にならない場合があります。PDFがスキャン(画像)中心のときは特に注意。
3)用語統一(辞書・表記ルール)
Languise:用語統一の仕組み(辞書)を前提に運用しやすい。部署や案件で訳語を固定したい場合に向きます。
ChatGPT:プロンプトで「用語集」を与えれば寄せられますが、長文・長期運用では指示の抜けや再現性の揺れが起きやすいです(テンプレ化・チェックリスト化で軽減可能)。
4)チェック工程(差分確認/レビューのしやすさ)
Languise:原文と処理後を見比べる“レビュー導線”が作りやすい設計。
ChatGPT:レビューはできますが、ファイル全体の差分確認は運用設計が必要(段落単位に分割、章ごとのチェック、番号・参照の整合性確認など)。
5)セキュリティ/データ利用(最重要:ここで揉めると導入が止まる)
Languise:公式情報として「処理後にデータ削除」「二次利用しない」等が明示されています。さらに、外部AI基盤に送られるデータの保持期間に言及があり、監視目的で最大30日保持→削除といった整理がされています。
ChatGPT:個人向けプランでは、設定によっては会話内容が学習に使われ得るため、社内規程がある組織は要注意です。一方、Business/Enterprise等のビジネス向けは「学習に使わない」前提で提供される整理が公開されています。
※最終的には、あなたの勤務先の情報管理規程(持ち出し可否・機密区分・委託先規程)に合わせる必要があります。
実務の注意点:「無料で試せるから」と個人アカウントで機密文書を貼り付ける運用は、監査で指摘されやすい典型例です。導入前に“禁止ライン”だけでも決めておくのが安全です。
6)チーム利用(アカウント管理/共有/監査)
Languise:複数ユーザー利用前提のプラン設計がある一方、具体の管理機能はプラン・契約形態で差が出るため、導入時は要確認です(ここは不確実なので、公式の管理機能一覧の確認を推奨)。
ChatGPT:ビジネス向けは管理・統制の仕組みが用意されます。組織導入で「誰が何をしたか」「データ設定がどうか」を説明しやすいのが利点です。
7)コスト構造(予算化しやすいのはどっち?)
Languise:無料/複数の有料プランがあり、機能によって“消費(回数・量)”の考え方が入る設計が見られます。大量処理の月にコストが跳ねる可能性があるため、利用量の見積もりが重要です。
ChatGPT:プランごとに上限や機能が変わります。翻訳だけでなく、要約・メール作成・資料骨子作成などに広く使うなら「翻訳専用費」ではなく業務生産性ツールのサブスクとして評価しやすい一方、翻訳専用としては割高に見えることもあります。
8)品質の伸ばし方(“その場の出来”より再現性)
共通:「用語集」「禁止表現」「数字・単位ルール」「敬語レベル」を最初に固定
ChatGPT:プロンプトをテンプレ化(案件ごとに冒頭に貼る)
Languise:辞書・標準表現の機能があるなら、まず“社内訳語”を登録してから回す
9)事故りやすいポイント(誤訳より怖い)
法務・規約・契約:AI翻訳は便利ですが、最終責任は人。重要契約は専門家レビュー前提に。
数値・単位・範囲:小数点・百分率・単位変換のミスは致命傷。チェック必須。
参照関係:「図1」「表2」「前項」などの参照がずれると、内容が正しくても使えなくなります。

ケース別:どっちが向いている?
ケースA:提出物が「PDF/Word/PPT」で、体裁込みで納品したい
- 体裁崩れの修正に時間を取られたくない
- 資料内の図表テキストも含めて、成果物として完結させたい
- 要約・校正までまとめて回したい

ケースB:メール・チャット・議事録など「文章を作りながら翻訳したい」
- 直訳ではなく、相手・目的に合わせた自然な文面にしたい
- 要点を先に、短く、丁寧に、など“書き方”まで整えたい
- 翻訳+返信案作成など、周辺業務もまとめて効率化したい
ケースC:機密文書が多い(社外秘・個人情報・未公開情報)
Languise:データ削除や二次利用に関する明示があるため、説明材料を作りやすい。
ChatGPT:個人向け運用は避け、ビジネス向け(学習利用しない前提)やデータ設定を使い分けるのが現実的。
※ここは会社の規程で答えが変わります。導入前に「禁止:個人アカウントで機密投入」だけでも合意しておくと、運用が崩れません。

実務で失敗しない運用手順
- 機密区分を決める:公開OK/社内のみ/社外秘(個人情報含む)
- 用語集を用意:製品名・部門名・専門用語・訳語固定
- 翻訳→レビューの導線を設計:章単位、表・図の確認者、数値チェック担当
- 品質ゲートを作る:重要文書は「二重チェック」「抜き取り再翻訳」「数値・単位の照合」
- 成果物に合わせてツールを分ける:ファイル納品はLanguise、文章作成はChatGPT…のように“役割分担”が最も事故りにくい
よくある質問(FAQ)
Q. 翻訳精度はどちらが上ですか?
A. 一概に断定はできません。言語ペア・分野・原文品質・用語集の有無で大きく変わります。実務では「精度」だけでなく、レビューのしやすさ/体裁の復元/再現性が納期を左右します。まずは同じ資料で両方試し、修正時間まで含めて比較するのが確実です。
Q. 契約書や規約などの翻訳にも使えますか?
A. 下訳や論点整理には有効ですが、最終判断は専門家レビュー前提がおすすめです。法務文書は「言い回し」より「法的効果」が重要で、誤訳の損害が大きいためです。
Q. 無料で試すならどこを見ればいい?
A. まずは「あなたの業務に近い資料」で、①翻訳品質 ②体裁 ③図表 ④レビュー工数の4点を確認してください。

まとめ:迷ったら「ファイル納品」か「文章作成」かで決める
ファイル納品(PDF/Word/PPT)中心:Languiseを軸にする
メール・文章のトーン調整中心:ChatGPT翻訳を軸にする
機密性が高い:ツール選択より契約形態の確認・データ設定・運用ルールの制定が先
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